ニッポンの洋食新発見。
第二回テーマ ハンバーグ
 
ハンバーグのルーツはアジアにあった!?
騎馬民族子どもから大人まで、内食・外食を問わず、ここまで愛される料理はハンバーグをおいて他にないのではないだろうか。この愛すべきハンバーグの起源は諸説さまざまだが、名前の由来はドイツ北部の都市ハンブルグからという説が一般的である。ハンブルグの英語読みがハンバーグというわけなのだが、そのドイツからどのようにして生まれたのかをひもといてみよう。

料理のルーツはどうやらアジアにありそうだ。中央アジアのタタール地方にかつて存在した騎馬民族が好んだ料理にタルタルステーキがある(タルタルの名前の由来はタタールから)。スパイスを使って生の肉を細かく刻んで食べるこの料理が、当時のヨーロッパに勢力を伸ばそうとしたタタール人によってドイツに持ち込まれたのだ。ドイツ人にとって奇妙に見えたのだろう、タルタルステーキを焼いて食べたら、意外に美味しかったというのがハンブルグステーキであり、これが後のハンバーグの誕生秘話なのである。こうしてハンバーグは東西を結ぶ料理になり、ヨーロッパ全土にも広がっていった。また、現在ではアメリカの食文化のひとつであるハンバーガーもここから派生していったのである。
ハンバーグ ではハンバーグは日本にいつ頃紹介されたのだろうか。明治時代には「挽肉バター焼き」や「挽肉酪農焼き」といった類似するような料理が存在していたらしいが、ハンバーグという名称と調理法が合致するのは大正時代に入ってからとのこと。日本で最初の料理学校・赤堀料理学園の当時の教科書だった「家庭応用洋食五百種」にてハンバーグが披露された。これを契機に洋食ブームに涌いていた時代の流れに後押しされて、日本でのハンバーグは確固たる地位を築いていったのである。

今やハンバーグとハンバーガーは日本人の日常食のエース。こうしてルーツをたどってみると、ハンバーグは中央アジアからヨーロッパを経由し、アメリカから日本へ地球を一周する「はるかなる旅」をしてきた料理なのだ。世界的な料理を生んだことになるタタール地方は、今のロシアの東部やモンゴルらしいが、果たして現地ではどんな食文化史が残っているのだろうか。興味深いところである。
参考
「カレーライスがやって来た」日本たべもの事始 
朝日新聞社 朝日文庫
大塚 滋 著

「にっぽん洋食物語大全」
講談社 講談社+α文庫
小菅 桂子 著

赤堀栄養専門学校
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